DXコラム

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生産計画作成業務の自動化・標準化による属人化の解消(他社に学ぶ DXの歩き方コラム 製造業編第3回)

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今回は、機械部品製造・販売のE社における『生産計画作成業務』のDX推進事例をご紹介します。


DX推進に取り組む背景と目的

E社では、予め決められた仕様で生産する規格品と、顧客の要望を受けて生産する特注品を取り扱っていました。
特に規格品の生産について以下のような問題が発生していました。

  • 生産品目が多く、生産計画の作成・管理にかかる業務負荷が高い状況にあった
  • 生産計画を作成するためのデータ収集や、関連部門への確認に手間がかかっていた
  • 生産計画の作成は一部のスタッフの経験と勘に依存しており、業務が属人化していた
  • 生産計画を作成できるスタッフが育っていなかった

    上記問題を解決するため、これまで標準化することが難しいと考えていた、生産計画作成業務の標準化に取り組む事にしました。

    生産計画作成業務を標準化するには、過去の生産実績データや、見込み段階の案件を含めた受注情報等の営業情報、生産実績、在庫といった情報が必要となるため、生産計画作成に関わる一連の業務についてDX推進に取り組みました。


    DX推進の目標

    生産計画作成業務のDX推進にあたり、まずは、「生産計画作成にかかる時間を30%削減する事」と「生産工程の見える化」を目標として設定しました。併せて、以下のような効果も狙いました。

    • 生産計画作成にかけていた時間が削減されることで、より生産性の高い業務に取り組める
    • 生産計画作成業務の標準化により、属人化を解消する
    • 生産計画の精度を向上させ、欠品や余剰在庫を削減する

      DX推進への取り組み

      DX推進にあたり、まず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

      • 生産計画作成に関わる業務全般のDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
      • 目的・目標達成に向けた改善策
      • システムツール導入含めた改善スケジュール

        上記のような企画・計画を策定した上で、生産計画作成業務のDX推進に取り組みました。
        取り組みのポイントは以下の通りです。

        1. 生産工程の「見える化」
          生産計画の精度を高めるには、生産工程を「見える化」する必要があります。
          そのため、改善前は現場に確認しないと判らなかった工程毎の生産状況を現場の担当者以外でも確認できるようタブレット端末を使用し、各工程現場で実績を入力できるように「Microsoft Power Apps」を活用し、その情報を「Microsoft Azure」上のデータベースに蓄積することで、生産状況を把握しやすくしました。
        2. データ収集の自動化(Microsoft Power Apps と Microsoft Teams 活用)
          改善前は受注見込み・実績データ、在庫データ等、各部門が管理していた情報(販売管理システム、在庫管理システムなど)を出力し「Microsoft Excel」で加工し、生産計画用に使用していましたが、出力したデータを「Microsoft Azure」上のデータベースと連携、紐づけすることでデータ加工にかかっていた手間を削減しました。
        3. 生産計画作成システムの導入
          生産計画作成をシステム化しようとした際、担当スタッフの経験と勘で判断されていた部分をロジックに落とし込む事が難しかったため、生産計画シミュレーションシステムを取り入れる事で解決を図りました。
          生産計画シミュレーションシステムは、まず、システムに製品の製造工程および、工程毎にかかる平均時間、生産設備の生産能力等の基礎データを登録し、そこに前述の2. で収集した実績データを投入することで、生産計画のシュミレーションを作成し、希望納期に合う最適な計画案を作成するようにしました。
          生産計画までをシステムがシミュレーションする事で、生産計画作成にかかっていた時間を削減することができました。

        DX推進による効果

        生産計画作成業務のDX推進により、以下のような効果が得られました。

        • 生産計画作成にかかる時間の削減
          生産計画作成システム導入から2ヶ月間は、データの確認や、システムが出力した計画のチェック・修正に時間がかかり、システム導入前と比較し10%程度しか時間短縮効果が得られませんでしたが、5ヶ月目には28%の時間短縮を実現しました。
        • 生産計画作成業務の属人化を解消
          担当スタッフの経験と勘頼りで、他のスタッフに引き継ぐことが難しかった業務について、生産計画シュミレーションシステムを活用することで、スタッフはシステムが出力した計画を微調整するだけで済むようになり、複数名の担当者が生産計画を作成できるようになりました。
        • 生産工程・工数の見直し・改善
          生産計画作成業務のDX推進に際し、生産工程の見える化を実施したところ、各工程における改善点や、工数のムダが判明したため、その見直し、改善も行う事ができました。
        • 生産計画の精度向上による適正在庫の実現
          生産計画をシュミレーションすることで、生産計画の精度が向上し、部品の欠品や中間在庫の発生率が減少しました。

        今回導入・活用したサービス

        • マイクロソフト:Microsoft Power Apps、Microsoft Teams、Azure SQL Database
        • 生産計画シミュレーションシステム:オーダーメイド

        「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

        本コラムは2022年1月現在の情報を基に作成しています。




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