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【後編】オンプレミスファイル、クラウド化の課題解決:大容量のファイルには「Azure File Sync」で高速アクセスを確保(岩原裕樹のクラウド徹底活用コラム 第6回)

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はじめに

前編では、NASやファイルサーバーに代わるストレージとして、可用性や堅牢性、拡張性に優れたクラウドストレージサービスである「Azure Files」をご紹介しました。このサービスは、SMBとよばれるプロトコルで、モバイル環境や社内の端末から直接接続して、クラウドストレージを安全に利用できるのですが、課題が無いわけではありません。
数百MBや数GBの大容量ファイルに対して頻繁にアクセスするようなケースにおいては、インターネットを経由したアクセスのため待ち時間が長くなります。ユーザーとしては、アクセスに時間がかかるのは運用に直接影響しますから、「やはりサーバーをオンプレで設置していた方が快適だった」と、オンプレミス回帰への圧力が発生しかねません。
管理者としては、オンプレミスでサーバーを設置したら、ストレージ容量の監視や可用性の確保、バックアップ対策などの運用業務が必ずついて回るため、できるだけオンプレミスのサーバーは設置したくないところです。


「Azure File Sync」のご紹介

そんな問題を解決するのが、「Azure File Sync」 というクラウドサービスです。
「Azure Files Sync」はオンプレミスのファイルサーバーと「Azure Files」を活用した、いいとこ取りのハイブリッドサービスです

システム構成は、各拠点に下記、図 2.1の①「Azure File Sync」エージェントをインストールしたサーバーを設置します。「Azure File Sync」を構築することで、クライアントからの大容量ファイルのアクセスは、ローカルネットワーク上のファイルサーバーにアクセスするため、高速にアクセスが可能になります。

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          図 2.1 Azure File Sync 構成イメージ

しかし、そのファイルは常にクラウドサービスである②「Azure Files」と同期しているため、ファイルサーバーにバックアップなどのデータ保護ソリューションを入れなくてもデータが保護されます。


全損時やリプレイス時の利用イメージ

それなら、「Azure Files なんか使わずに、バックアップソリューションを入れれば良いじゃないか?」という意見もあるかと思います。しかし、「Azure Files Sync」の導入メリットは他にもあります。

ローカルサーバーでのディスク使用量を削減できる
「Azure File Sync」は、ファイルサーバー上で頻繁に利用されるファイルのみをローカルに保持し、それ以外のファイルはポインターと呼ばれるファイルの形跡に置き換え、ファイルの実体はクラウド上に保存できます。したがって、オンプレミスのファイルサーバー内での使用容量を0(ゼロ)にすることができ、ストレージ容量もそれに関わる運用業務も最小限に抑えることが可能です。もちろん、バックアップ用のストレージ領域を用意する必要もありません(図 2.2)。
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図 2.2 Azure File Sync 構成イメージ:拠点のディスク使用量を削減できる
ローカルサーバーの障害でもすべてのデータは保全される
万が一、「Azure Files Sync」を設定しているサーバーが障害により使用不能となった場合でも、ファイルは全てクラウド上に保存されているため、新しいサーバーを用意して「Azure File Sync」を設定するだけで、すぐに障害前の環境に復旧することが可能です。オンプレミス環境と比較して心強いかぎりです(図 2.3)。
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図 2.3 Azure File Sync 構成イメージ:ローカルサーバーの障害でもすべてのデータは保全できる。

「Azure File Sync」の特長はまだあります

「Azure File Sync」 は複数稼働させることが可能です。例えば、東京と大阪に支店とスタジオラボがある4拠点環境の場合、それぞれの拠点で使用されるファイルは異なる可能性があります。
このような環境においても「Azure File Sync」を活用することで、各拠点で頻繁に使われるファイルのみがファイルサーバーに保存され、それらを含む全てのファイルは「Azure Files」で一元的に保存されます。


コストについて

さて、コストについてですが、「Azure Files Sync」は、「Azure Files」を使用するためその課金が発生します。また、「Azure File Sync」の同期サーバーごとに課金が発生します。


さいごに

「SharePoint」でのファイル共有が非常に簡単ではありますが、大容量ファイルや法令で定められている長期間の保管が必要なファイルなど、容量単価やファイルへのアクセス方法の問題でどうしても難しいケースにおいては、「Azure File Sync」を活用することで、快適なハイブリッドファイルサーバー(ストレージ)環境を実現することが可能になります。

ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひともディーアイエスサービス&ソリューションにお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2023年2月時点での情報を基に作成しています。

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著者プロフィール
岩原 裕樹(いわはら ひろき)
神奈川県出身。マイクロソフト クラウドサービス提案・販売のスペシャリスト。2000年入社、2001年当時注目を浴び始めていたセキュリティ拡販プロジェクトに参画。大手セキュリティベンダーとともにインターネット関連業界へのセキュアーなWebサービス環境の構築支援に従事。2019年に弊社「Microsoft Power Platform」を使った業務改革に着手。社内での活用アプリの企画、開発を主導。その経験に基づき多くのユーザ企業に対してセキュリティを含めDX推進に繋がるシステム導入実績を持つ。

「岩原裕樹のクラウド徹底活用コラム」一覧
第1回:Windows Server 2012 / 2012 R2 EOS に向けて
第2回:今注目の「Azure Virtual Desktop(AVD)」について
第3回:CISCOソリューションで実現する「SASEモデル」とは?
第4回:「Microsoft 365」のバックアップが必要な理由とは?「HYCU」利用のススメ

第5回:安全・お手頃なクラウドストレージ「Wasabi」が選ばれる理由とは?
第6回(前編):なぜ「Azure Files」が選ばれるのか?

Azure バックアップ関連情報

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