DXコラム

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【コラム】DX推進、取り組んでいますか[三浦茂のDXの歩き方コラム 第1部(全3部)]

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はじめに

ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社マーケティング担当の三浦茂です。経済産業省を中心に国を挙げて取り組みを推進しているデジタルトランスフォーメーション(DX)、多くの企業で着手しているという声は聞きますが目立った成果を見せている企業は多くありません。第1部では、DXの現状および、浸透しない理由について考えてみます。


企業は、DX化を推進しているのか

企業におけるDXへの取組の実態

2020年12月に経済産業省が発表したDXレポート2によると、企業におけるDXの取組状況について、全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況であることが報告されています。
この理由の1つとして「DX」とは、「レガシーシステムを刷新すること」や「競争優位性が保たれていれば必要ない」という解釈をしている企業が多いということが報告されており、2018年に政府が発表した「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」という、「DXの定義」がまだ正しく認識されていない企業が多いことを表しています。
一方で、2020年から猛威を振るっているコロナウイルスの影響で、各企業では事業継続について、対策を検討せざるを得ない状況になりました。この危機を回避すべく、企業では、テレワークをはじめとした社内のITインフラや就業に関するルールを変更するといった対策を実施しています。このコロナ対策のシステム構築とDXで求められているインフラ部分の領域が一部重複していることから「コロナ対策」が、「DXの定義」に関連した取組であるという認識が広まってしまっていることも取り組みを始めたばかりと考えている企業が増加している一因であると考えられます。
※経済産業省 DXレポート2(2020年12月28日)を参照


DX化が浸透しない理由

人材不足の深刻化、2025年問題

2018年経済産業省の「DXレポート」にあります「2025年の崖」、IT人材が43万人不足する問題に対応すべく、各企業では、IT人材を社内で育成する取り組みを進める必要に迫られています。
しかしながら、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2020年8月31日に発表した「IT人材白書2020」では、ユーザ企業におけるIT人材の「量」への過不足感を聞いたところ、「大幅に不足している」が全体の33%、前年比で1.9%増、「やや不足している」が全体の56%、同1.7%増と、人材不足を感じている企業が増加していることも分かりました。新規人材の確保がままならない一方で、当初各企業のコンピュータ化(当時の言葉で言えばOA化やFA化)を牽引してきた時代の人々はすでに60歳を超えている人も多く、システムの全体像を把握している人材の退職が始まっています。すでに2025年の崖を実感し始めている企業も多いようです。

ipa
※独立行政法人情報処理推進機構(IPA)発行「IT人材白書2020」より抜粋

進まない人材確保と内製化

多くの企業では、DX化を推進できるIT人材の採用が難しい状態です。情報システム関連を目指す学生は、大手SIerへの就職を目指しているため、なかなか一般企業には人材が回ってきません。また、中途採用で人材を確保しようとしても採用する側がITの基礎知識が少ない場合は、求職者の能力を正当に評価できず、システム構築能力よりも、自己アピールに優れた人材を採用してしまうリスクにさらされています。往々にして、優秀な技術者は自己アピールが下手な方が多いのは、筆者の経験から感じるところです。
情報システム部門においては、新規に優秀な人材確保が出来ないため、既存システムの運用と保守、次期システムの企画することで精一杯、事業部門が求めるアプリケーションを構築することまで手が回らない状態です。だからといって、プログラミングやDBの知識が十分でない事業部門が、自ら必要と感じるプログラムを作成するが難しいことは言うまでもありません。


ベンダーロックインから脱却できない。

 社内のIT人材が十分に確保できない状態では、ITシステムの構築は「SIer、ITベンダー」といった専門の企業に開発を依頼することが一般的です。社内に人材がいなくても、ITの専門家によって、希望する仕様で、短期間に構築をしてもらえるので、SIerに依頼することが多くなります。お客様社内のIT担当者としては、システムの構築後に、更新、修正が発生した場合でも、すでにSIerが詳細仕様を把握しているので、概要を伝えるだけで対応してもらえるメリットがあります。しかし、DX化に向けてシステムの改変をしようとした場合、途端に大きな問題に直面します。詳細仕様は既存のSIerしか把握していないため、新規のDX構築技術に優れているSIerに頼む場合は、現状のシステム解析を実施する所から作業を始めることとなります。時間、コストの観点からSIerを変更することが困難な状態「ベンダーロックイン」になっていることに気づくのです。SIerを変更できないと、現状のSIerが構築できる技術の範囲に縛られ、DX成功企業が採用しているテクノロジーを導入することが出来ない可能性が発生しています。

IT人材の確保が難しい状況、かつベンダーロックインの状況が続く中では、DXを推進・浸透させるために乗り越えなくてはいけないハードルが高い企業が多いのもDX化が進まない一因ではないでしょうか。


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著者プロフィール
三浦 茂
兵庫県出身。大和紡績株式会社に入社後、国内大手メーカーに常駐し当該メーカーのグループ会社における生産管理システム・自動出荷システムや、公共団体向けのデータ共有・配信システムなど数多くのICTシステム構築に携わる。近年はDISグループの主要なシステム構築プロジェクトにも参画し、現在ICTマーケティングのスペシャリストとして活動をしている。



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