DXコラム

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見積・提案業務のスピードアップによる営業機会ロスの削減(他社に学ぶ DXの歩き方コラム 製造業編第2回)

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顧客からの要望を受け、機械部品を製造するC社における、見積・提案業務のDX推進事例をご紹介します。


DXに取り組む背景と目的

C社では、顧客への見積・提案を行うにあたり、以下のような問題が発生していました。

  • 顧客への見積・提案や納期回答に時間がかかり、営業機会をロスしてしまう
  • 経験の浅い営業スタッフは自分で見積・提案を作成することができず、ベテランスタッフ頼りになるため、ベテランスタッフの業務負荷が増大

上記の問題を解決するため、「見積・提案業務のどこに時間がかかっているのか」、「何故、経験の浅いスタッフが見積・提案を作成できないのか」要因を調べたところ、顧客から案件の相談を受けた後、その内容に類似した案件情報を探すことに多くの時間を費やしていることが判りました。

既に、図面・ドキュメント管理システムは導入しており、品名等のキーワードで検索できる状況ではありましたが、検索結果に表示される図面・ドキュメント数が多すぎたことと、保管場所や、ファイル名、情報のタグ付け、保管期間等、当初決めていたルールが守られていなかったことから、欲しい情報を見つけ難い状況であったため、まずは、図面・ドキュメント管理のDX推進から取り組む事としました。


DX推進の目標

図面・ドキュメント管理のDX推進に取り組む目標を「見積・提案業務のスピードアップ」とし、「図面・ドキュメント検索時間50%削減」といった定量目標を設定することで、効果を測り易くしました。

また、図面・ドキュメントの検索時間が短くなることや、類似案件情報を見つけ易くなることで、以下のような効果も狙いました。

  • 経験の浅い営業スタッフでも、類似案件情報をもとに見積・提案作成ができるようにする
  • ベテランスタッフの見積・提案に関わる業務負荷を軽減する

DX推進への取り組み

DX推進の目標達成に向け、システム・ツール導入を行う前に、まず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

  • 図面・ドキュメント管理業務を含む見積・提案業務のDX推進範囲・シナリオ
  • 目的・目標達成に向けた改善策(図面・ドキュメント管理ルールの見直し、システム・ツール導入等)
  • システム・ツール導入含めた改善スケジュール

上記のような企画・計画を策定した上で、図面・ドキュメント管理に取り組みました。
取り組みのポイントは以下の通りです。


図面・ドキュメント保管ルール・仕組みの改善

見直し以前は担当者が見積・提案の修正・提示を繰り返すうちに最新版のデータや関連ドキュメントをサーバーにアップロードせず、担当者自身のPC内で保管し、他のスタッフがデータを見つけられないケースが多く、保管場所に関するルールが守られていない状況でした。
そこで、各担当者のPC内に案件情報共有用のフォルダを作成し、そのフォルダ内のデータを自動で図面・ドキュメント管理システム上にアップロード(同期)するようにしました。


案件情報検索機能の改善(類似形状検索機能の導入)

案件情報の検索について、品名や顧客名等のキーワード情報だけでなく、図面データをもとに類似した図面データを検索できる仕組み(類似形状検索機能)を持つ図面・ドキュメント管理システムを導入するとともに、図面データに関連ドキュメント(仕様書、見積書、提案書、契約書等)を紐付けて管理することで、図面データを含む類似案件情報を見つけ易くしました。


DX推進による効果

図面・ドキュメント管理のDX推進により、以下のような効果が得られました。


案件情報検索機能の改善(類似形状検索機能の導入)

顧客から預かった図面データから過去対応したことのある類似案件の情報を検索できるようになり、類似案件情報の検索にかかっていた手間や時間を削減できました。
類似形状検索機能は、検索対象となるデータ数、検索回数が増えることで検索精度が向上することもあり、システム・ツール導入から3ヶ月後には、図面・ドキュメント検索時間を50%削減する事ができました。

類似案件情報を直ぐに得られるようになったことで、見積・提案や納期回答にかかる時間も短くなり、営業機会ロスの削減に繋がりました。


ベテランスタッフの業務負荷軽減

本取り組み以前は、経験の浅いスタッフは、類似案件情報を見つけることが難しく、顧客からの要望をベテランスタッフに報告・相談し、ベテランスタッフが見積・提案業務を行うことが常態化し、ベテランスタッフの業務負荷が増大傾向にありました。

取り組み後は、類似案件情報を見つけ易くなったため、経験の浅い営業スタッフでも、類似案件の見積書や提案書を参考に、顧客向けの見積書・提案書を作成する事ができるようになりました。

ベテランスタッフは、最初から見積書・提案書を作成するのでは無く、経験の浅い営業スタッフが作成した見積書・提案書をチェックするだけで良くなり、業務負荷も軽減しました。


今回導入・活用したサービス

  • 類似形状検索:専用ツール
  • またはドキュメント管理:Microsoft Teams(やりとり)、Microsoft SharePoint(文書保管先、検索機能)

「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2021年12月現在の情報を基に作成しています。


「他社に学ぶ DXの歩き方コラム」製造業編一覧
第1回:業務・経営データ収集の迅速化による真のデータ経営の実現
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第4回:在庫管理のDX化によるオムニチャネルの実現
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第6回:作業時間の見える化による生産効率の改善
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第1回:訪問中心から、リモート中心へ、営業のDX化による営業スタイル変革
第2回:報告のための営業実績管理から、成果向上のための営業実績管理へ
第3回:営業スタッフの業務負荷を軽減し、生産性の高い業務に集中できる環境を実現
第4回:受注処理業務のDX化による業務変革&オンライン受注の実現
第5回:営業の業務を変えずに顧客管理を実現したDXとは
第6回:営業状況の見える化によるデータドリブン経営への取り組み

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