DXコラム

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報告のための営業実績管理から、成果向上のための営業実績管理へ(他社に学ぶ DXの歩き方コラム サービス業編第2回)

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今回は注文住宅を建築・販売するD社における、営業実績管理業務のDX推進事例をご紹介します。


DX推進に取り組む背景と目的

上場企業の関連会社であるD社は、事業部門長に営業実績を報告するにあたり、以下のような問題が発生していました。

  • 営業チーム毎に管理している売上見込み(商談状況)、受注実績の提出が期限ギリギリになる
  • 各チームからExcelで提出される売上見込み、受注実績報告内容に不備や訂正があることが多い
  • 各チームの売上見込み、受注実績を実績報告書に転記する際、ミスが発生しやすい
  • 売上実績については、工事の進行状況によって計上額が変わるため、月末ギリギリにならないと数字が確定しない
  • 月末は営業責任者が実績報告書作成に時間を取られ、本来の管理業務に支障が出ている

上記問題の要因を調べたところ、営業チームで作成・管理する売上見込み、受注実績報告書や営業責任者が作成・管理する実績報告書を編集する際、手作業でデータを転記(コピー&ペースト、直接入力)する箇所があり、その転記の際に上書きや先祖返り、新たな項目追加などの確認、修正に時間が多く取られていることがわかりました。
営業スタッフ、営業管理者が報告のためのデータ作成に多くの時間を費やしていたことから、営業実績管理業務のDX推進に取り組む事にしました。

DX推進に取り組む前は、営業実績の管理業務について、「独自にシステムを開発する」や、「SFA、CRM、ERP等のシステムを導入・連携させて実現する」等の案が挙がったこともあったようですが、コスト面から実現には至っていませんでした。


DX推進の目標

営業実績管理業務のDX推進にあたり、まずは、「ミスを抑制し、効率良く営業実績管理が行えるようにする事」を目標として、「Microsoft Power Apps(以下、Power Apps)」の活用と「Microsoft Teams (以下、Teams) 」連携を設定しました。

併せて、以下のような効果も狙いました。

  • 報告資料作成にかけていた時間が削減されることで、より生産性の高い業務に取り組める
  • 売上見込み、営業実績が把握し易くなり、スムーズに対策が打てるようになる

DX推進への取り組み

DX推進にあたり、まず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

  • 営業実績管理業務のDX推進範囲・シナリオ
  • 目的・目標達成に向けた改善策
  • 関連ドキュメント取扱い、報告ルールの見直し、システム・ツール導入等(Power Apps と Teams)
  • システム・ツール導入を含めた改善スケジュール

    上記のような企画・計画を策定した上で、営業実績管理業務のDX推進に取り組みました。
    取り組みのポイントは以下の通りです。


    データ収集の自動化(Power Apps と Teams の活用)

    ミスが発生しやすい人の手によるデータの転記を無くし、報告書作成にかかる手間や時間を削減するため、ローコードツールであるPower Apps を活用し、データを収集する場所に Teams を採用することにしました。
    報告書に必要なデータについて、各担当者が入力したデータを1日に1回、自動的に収集し報告書に反映する事で、営業責任者によるデータ収集、転記作業を無くすことができました。
    また、提出期限ギリギリに修正が発生しても、複数の営業が同時に入力しても排他機能を実行することで、スムーズに報告書を修正することが可能になりました。


    ドキュメントフォーマットの改善

    営業チーム毎に作成・管理している「売上見込み」、「受注実績」について、当初、営業部門全体で統一されたフォーマットを使用していましたが、運用するうちに、チーム毎に独自の項目を追加する等、フォーマットが崩れていたため、各チームの要望を組み入れ、新たな統一フォーマットを作成しました。
    改善前は、フォーマットの差異を人手で吸収、対応していましたが、Power Apps 導入後は入力フォーマットを統一して変更されるため、必要な追加項目をスムーズに運用できるようになりました。


    DX推進による効果

    営業実績管理業務のDX推進により、以下のような効果が得られました。

    売上見込み、営業実績の収集、報告にかかる時間の削減(生産性の向上)

    月末・月初は営業スタッフ、営業責任者ともに報告用データの入力、確認に時間を割かれていましたが、データ収集が自動化されたことで、本業務にかかっていた時間を削減する事ができました。
    DX推進後は月末・月初でも顧客対応等、生産性が高い業務に時間を割けるようになり、営業成果の向上にも繋がっています。


    報告のための営業実績管理から、成果向上のための営業実績管理

    DX推進前の営業実績管理業務は、経営陣および親会社への報告のためのデータ収集、報告書作成に多くの時間がかかり、営業実績に応じた対策を検討する等の戦略的な業務に時間をかけることができない状況でした。
    営業実績管理業務のDX推進により、データ収集、報告書作成にかける時間が削減され、空いた時間を戦略的な業務に割くことができるようになったことで、報告のための営業実績管理ではなく、成果向上のための営業実績管理が行えるようになりました。


    今回導入・活用したサービス

    「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

    本コラムは2021年12月現在の情報を基に作成しています。




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