DXコラム

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営業の業務を変えずに顧客管理を実現したDXとは(他社に学ぶ DXの歩き方コラム サービス業編第5回)

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IT業のJ社における「顧客管理業務」のDX推進事例をご紹介します。

DX推進に取り組む背景と目的

パッケージソフトウェアを開発・販売するJ社では、顧客毎に担当営業が付き、顧客のフォローを行っていましたが、顧客数の拡大に伴い、以下のような問題が発生していました。

  • 顧客アンケートで、営業への不満が上がってくる
  • 既存顧客から新規の案件が出てこない(アップセル・クロスセルに繋がり難い)
  • 顧客の不満に気付かず、サポート契約を打ち切られる
  • 顧客を別の営業担当に引き継いだ際、それまでの対応履歴が追い難い
  • 経営幹部が対応すべき重要顧客への対応が漏れる、または遅れる

上記の問題を分析したところ、優先して取り組むべき事項は以下の3つの「見える化」の実現が必要であることがわかりました。

  1. 顧客対応履歴の「見える化」
  2. 優先して対応すべき顧客の把握とアプローチ状況の「見える化」
  3. 顧客毎の実績(案件見積、受注、売上)の「見える化」

幸い、日々の営業活動(顧客対応履歴)については、日報としてメールで上長に報告する流れが定着していましたので、この情報を活かして顧客管理業務のDX推進に取り組むことにしました。


DX推進の目標

顧客管理業務のDX推進にあたり、まずは、以下を目標として設定しました。

  • 「見える化」した情報の活用
  • 営業機会ロスを20%削減する

その他、営業部門からは「営業の手間を増やしたくない」、経営幹部からは「重要顧客への対応状況をリアルタイムで把握したい」等の要望も上がりました。


DX推進への取り組み

目標を実現する上で、まず以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

  • 営業活動(特に顧客対応部分)および、顧客管理に関わる業務全般のDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
  • 目的、目標達成に向けた改善策
  • システムツール導入含めた改善スケジュール

上記のような施策を策定した上で、顧客管理業務のDX推進に取り組みました。
取り組みのポイントは以下の通りです。

  1. 日報データの蓄積
    以前からある程度フォーマット化されたメールでの日報報告を「Microsoft Power Platform」を活用した日報報告へ変更し、新たに顧客管理に必要な項目を一部追加して営業に入力させるようにしました。ただし、システム目線でフォーマットを変えてしまうと情報を入力する側の利便性が下がり業務負荷が上がる恐れがあるため、できるだけシンプルなフォーマットとするよう心掛けました。

  2. 顧客毎の対応履歴および売上実績の共有
    新たに入力した日報データは顧客をKeyに蓄積し、顧客毎の対応履歴を検索、編集できるようにしました。実績(見積、受注、売上など)は、「Microsoft SharePoint」 でポータルサイトを開発し、販売管理システムとリアルタイムに連携するようにしました(フルスクラッチによるシステム開発も検討しましたが、スケジュール面を考慮して既存販売管理システムとの連携とローコードツールでの構築を選択しました)。

  3. 対応すべき顧客の抽出
    ポータルサイト上Top画面に顧客ごとの最終接触日からの経過日数や見積実績、受注、売上状況を「見える化」し、日報データと連携した項目を表示するようにして気付きを促し、一定の期間アプローチがない顧客には、担当者や上長にメール通知するようにしました。

DX推進による効果

顧客管理業務のDX推進により、設定した目標を達成することができました。また併せて以下のような効果も得ることもできました。

  • 営業機会ロスの削減
    対応すべき顧客をシステムが通知してくれるため、対応の漏れや遅れが減り、システム導入3か月後には、営業機会ロスを30%削減することができました。

  • 既存顧客への新規案件提案数の向上
    以前は、顧客対応状況について、経営幹部や上長から口頭または、資料で報告を行うよう営業スタッフに指示が出ていましたが、ポータルサイトを確認することで、経営幹部や上長が確認したい時に顧客ごとの状況を確認できるようになりました。そのため、営業は、前述のような資料作成や報告の手間が削減でき、これまでの顧客対応履歴を見ながら、次回アプローチ対策が打てる、より戦略的なディスカッションに時間をかけることができるようになりました。その結果既存顧客への新規案件提案数が30%向上しました。

  • サポート契約継続率の向上
    ポータルサイトから不満情報を確認、タイムリーな対応を実施する事によりサポート契約の打ち切り件数が減り、継続率が30%向上しました。

今回導入・活用したサービス

「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2022年3月現在の情報を基に作成しています。




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