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「業務を効率化するには?ヘルプデスク業務の課題と対策を解説」前田剛志の問い合わせ業務の効率化に向けて Freshdesk解説コラム 第3回(全4回)

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はじめに

顧客や社内ユーザーからのヘルプデスクへの問い合わせも、件数が少ないうちはオペレーターが電話のみで対応することで間に合いそうです。しかし、件数が増えてくると、類似案件への対応に繰り返し時間をとられることも多くなり、対応が逼迫(ひっぱく)してしまいます。
今回は、この打開策として有力な、システム導入によるヘルプデスクの効率化の概要、メリット、課題等についてご紹介します。


ヘルプデスク業務とは

ヘルプデスク業務とは、顧客やユーザーからの問い合わせや技術的なサポート要求に対応し、製品やサービスに関する問題解決やアドバイスを行う業務です。
社内向けヘルプデスクは、主に情報システム部門での社内ユーザーからの問い合わせ対応やトラブルシューティングを、社外ヘルプデスク(コールセンターを含む)はカスタマー部門での自社商品に関する顧客からの問い合わせ対応を行う窓口として、主に電話やメール等で顧客やユーザーの抱える問題の解決をサポートしています。


ヘルプデスクの現状と課題の把握

ありがちなヘルプデスクの現状

  1. オペレーターが電話のみで問い合わせを受け付け、ひとりで問題の解決までをサポートすることがほとんどです。簡単に解決できない案件が舞い込むこともありますが、そのような場合の組織的な対応方法が定まっていないため、場当たり的に同僚、上長、他部署に相談しながら処理しています。
  2. オペレーター用の対応マニュアル、トークスクリプト、FAQ等は、紙ベース、もしくは部門Webサイトや共有フォルダ内等にデータで用意されていますが、あまり更新されていない場合が多いようです。
  3. 一応、顧客ポータルや社内サイトに顧客や社内ユーザー向けのFAQがあり、参照可能な状態にはなっていても、見直す機会がないため、さほど更新されていない状況もあります。また、活用状況も把握しきれていない場合が多いでしょう。

ヘルプデスクの逼迫する状況に対処するための課題とは

  1. 問い合わせ案件の増加に伴い、調査や回答の重複により効率が低下し、電話がつながりにくくなることも多くなりがちです。このような事態に対応するためには、FAQでの顧客のセルフ解決手段の整備による問い合わせ件数の削減とそれに伴う業務効率の向上 、そして電話以外の問い合わせチャネルの確保による顧客サポートの充実が急務と言えます。
  2. オペレーターがひとりでステータスや対応方法の異なる複数の問い合わせ案件を抱え込むことも多くなり、把握しきれなくなることもあるため、アクションのタイミングが遅れたり、さらには、回答漏れによる品質低下を招いたりしてしまっています。このような事態に対応するためには、案件自体のステータス、オペレーターの負荷状況、組織的な対応の必要性を踏まえた、問い合わせ案件の進捗管理の徹底が必要になるでしょう。
  3. ひとりのオペレーターが特定顧客を最初から最後までサポートすると、対応が属人化し、対応する人によって回答内容にばらつきが出てきてしまいます。このような問題に対処するためには、組織全体での情報共有、回答内容の平準化、応答品質の向上が求められます。
  4. 管理者は、問い合わせ案件の全体的な対応状況は雰囲気で感じていても、個別の問い合わせのステータスや対応の品質が把握、管理できていないため、問題が顕在化するまでフォローできず、改善に向けてのイニシアチブが取れていないのが現状ではないでしょうか? 管理者向けに、問い合わせ対応の進捗状況、パフォーマンス管理情報の集約が求められています。組織全体として、回答時間、解決率等のKPIレベルの対応が必要になるかもしれません。
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ヘルプデスク業務を効率化するための解決策

従来の延長での対応改善

ヘルプデスク業務を効率化するために、まずは従来の延長線上で工夫を凝らして対応していくことも可能です。
例えば、オペレーターのさらなる教育、マニュアル・スクリプト・FAQの改善、Excel等スプレッドシートベースの一覧表による進捗管理の高度化が考えられます。
もちろん、これらの対応を組み合わせていくことで多少の改善は見込めるかもしれませんが、属人化の弊害は解消できず、特にエスカレーションを伴う複雑な対応が求められる案件では、案件の増加に伴って管理面で限界が生じることは明らかです。
これらについて、例えばExcelベースの一覧表は、月次ベースの会議でプロジェクトの進捗管理をするには適した手段かもしれません。
しかし、日々発生する雑多な問い合わせ案件を管理するには無理があるので、簡易な案件はオペレーターの属人的な自己完結的対応に委ねつつ、Excelは上長や他部門へのエスカレーションに発展するような中長期的な対応案件を重点管理する等の、特殊な用途に限られるのではないかと思われます。

アウトソーシング(外部業者)の活用

急増する問い合わせによる業務の逼迫に対処するその他の方策としては、ヘルプデスク部門の全体もしくは一部を外部のベンダーに委ねてしまうことが考えられます。

形態としては、オンサイト(要員の派遣)、オフサイト(業者の社内での対応)等が考えられ、迅速な導入、高度なスキルを有する人材の活用、急激な問い合わせ件数の変動への対応、費用対効果等のメリットを享受できることもあります。

ただ、業務面での適合性、人材の配置転換、情報セキュリティや対応品質の確保、企業のブランド価値の維持等の懸案も多く、これらの課題を踏まえると、業者の選定に困難が伴う場合もあるのではないでしょうか。

もちろん企業の経営方針としてこの種の改革を進めていたり、アウトソーサーと資本関係があったり、といった好条件がそろえば、その流れに乗って検討を進めていく余地はありますが、多くの場合は、かなりリスクが高い選択肢と言えそうです。

ツール導入による自社でのシステム化

ヘルプデスクの業務にフィットしたサービスを導入することにより、顧客やユーザーへの対応を支援していくという方向性も考えられます。これは、システムベンダーが提供するツールを活用して、自社内に問い合わせ管理システムを構築することで可能となります。
トラブルや症状ごとの対応内容、解決方法等の情報共有による対応のサポート、回答記録の蓄積、対応者のアサイン、進捗管理等、さまざまな面での課題解決のカバー範囲が広く、従来のやり方の延長上で標準的なシステム機能に自社業務を適合させるだけで、相応の効果が期待できそうです。
こうしたツールの導入によるシステム化は、多くの企業にとって現実的かつ有力な選択肢と考えられます。


ヘルプデスク業務のシステム化による効率化の全体像

1.セルフ解決を含めたチャネルの拡大による業務の効率化と品質の向上

  • FAQの改善やチャットボットの新設により、顧客やユーザー自身によるセルフ解決を増やすことができるので、比較的難易度の低い困りごとの迅速な解決を支援すると同時に、オペレーターへの電話による問い合わせを減らすことも可能になります。
  • 顧客やユーザーがポータル(チャットボット)等で解決できなかった難易度の高い問い合わせは、電話、ライブ(有人)チャット、メール、ポータル上の問い合わせフォーム、SNS等でも受け付けるため、顧客やユーザーは自身が使いやすい方法で相談できます。また、オペレーターの方も、時間をかけた密度の高い丁寧な対応を心掛けることにより、対応品質、さらには顧客満足度を向上させることができます。

2.チケットによる状況に応じた漏れのない問い合わせ案件管理の実現

  • 個々の問い合わせ案件については、ダイナミックなステータス管理が可能な「チケット」と呼ばれるフォーマットに、必要項目(問い合わせ内容、依頼者、対応方法、所要時間等)を入力することにより、情報共有が可能になると同時に、状況に応じて担当者、専門的なスキルを有するスタッフ、上長、関連部署に連絡や対応を依頼するための、組織的な情報管理の仕組みや業務フローが構築できます。
  • これにより、多チャネルからのチケットの割り当て、オペレーター間のコラボレーション、上位職、専門職、他部門へのエスカレーション等を、ステータスや緊急度に応じて適時に漏れなく処理することが可能になります。

3.高度な情報共有による回答内容の平準化

  • オペレーター間では、マニュアルやトークスクリプト以外に、チケット履歴が反映されたナレッジベースでも情報を共有し、問い合わせへの対応を高度化します。
  • 類似案件への対応内容をチャットボットのログを含めて共有して、回答内容をテンプレート化することにより、属人化による弊害を排除するとともに、対応時間も短縮することができます。

4.ヘルプデスク業務全体の案件や対応進捗状況、パフォーマンス管理

  • 管理者(もしくはチーム全体)は、プレゼン資料やダッシュボードのような視覚的にわかりやすいグラフや画面を通して、全案件の進捗管理から、特定期間内の問い合わせ件数や問い合わせ内容といった需要の分析、組織全体の平均応答時間、平均解決時間、問い合わせの解決率といった対応品質を評価するためのKPIを含めた、スタッフごとやチーム全体のパフォーマンス管理まで行うことができます。

システム導入時の留意点

次に、実際にシステムを導入するにあたって、留意すべき点について見ていきます。

1.業務に適合したツールの選定

システム化にあたっては、まずは自社の業務の状況に合ったツールを選定することが重要になります。
現在、電話での対応が中心の場合は、Web等にチャネルを拡大しながら、社内のシステム環境下で案件管理が可能な機能を持つツールを選ぶとよいでしょう。
実際には、Webで自社に合いそうなシステムを調査し、ベンダーに問い合わせをしたうえでトライアル利用しながら検討していく必要があるでしょう。

2.システムに適合させるための業務設計と人員教育

ツールを活用する場合は、従来のやり方をそのままの形でシステムに載せるというよりも、問い合わせ管理 システムの活用を前提として、業務全体を最適化し、システム化のメリットを活かしきる姿勢が重要となります。
関係者のレビューを経て、そのような業務フローを理想的な形で固めたうえで、実際のシステム導入のフェーズに入ることが望ましいでしょう。
さらに、新しいシステムの全体像や基本的な考え方、最低限必要になるスキルについて、導入前、導入後も必要に応じて随時、オペレーターや管理者、他部門の関係者を対象に、説明会や講習会等による教育を実施していく必要があるかもしれません。

3.従来と同じ対応を望む顧客への対応

システム化であれこれと変わる部分もありますが、お客様やユーザーのなかには、業者側の都合による新しいやり方よりも、従来と同じ形での対応を望まれている方がいらっしゃる場合もあります。
このような方への対応をどうしていくかということも、日々の業務、教育、会議等の場で議論しながら、適切な対応策を見いだしていくよう心掛けましょう。


ヘルプデスクの効率化には、ツールの導入によるシステム化がおすすめ

従来型対応の改善レベルではヘルプデスク業務の属人化を排除し切れないことも多く、効率や対応品質の面でも十分とは言えません。また、アウトソーサーの活用も、業務の適合性やリスク管理面を考えると、選択肢としてはハードルが高いのではないでしょうか?

業務を効率化しながら対応品質の向上を実現するためには、まずはツールの導入によるシステム化を検討すべきだと思われます。

ディーアイエスサービス&ソリューションの提供する問い合わせ管理ツール「Freshdesk」は、こうしたヘルプデスク業務の急増に対処するためのマルチチャネルでの問い合わせ対応、チケットによる一元的な情報蓄積や進捗管理、さらにはトラブル解決状況に関わるKPIを含む管理者向けの視覚的なパフォーマンス管理支援といった基本機能を取りそろえています。

特に対応内容の改善を視野に入れて、問い合わせや解決方法を日々の業務のチケット等での対応履歴を含めて一元的に記録したり、コメントを追加したりできる情報共有性に優れ、それを電話、Web上のFAQ、ライブチャット(専門スタッフが対応)、チャットボット、さらにはSNS、メールなどのさまざまなチャネルを横断して、顧客目線で活用していくのに適している点に特徴があります。

また、自動的な業務の割り当てや他部門等へのエスカレーションを可能にするチケットベースでのワークフローをベースとして、スタッフ同士のコラボレーション機能も活用できるため、案件ごとのステータスや緊急度に応じた、臨機応変かつ組織的な対応にも適しています。ヘルプデスク業務でお悩みの方は、ぜひディーアイエスサービス&ソリューションにご相談ください。

本コラムは2023年9月現在の情報を基に作成しています。

Mr Maeda

ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社
営業統括課 課長代理 Freshdesk 担当 前田 剛志

筆者プロフィール

大阪府出身。2000年入社。インサイドセールスとして営業業務に従事したのち、弊社が構築したシステム(サーバやネットワーク等)の保守・運用サービスの提案・導入を担当。インシデント管理の重要性を認識し、社内インシデント管理システム導入時には主導的役割を担った。現在は、各種マネージドサービスの提供により、情報システム管理者の負担軽減を実現するサービスの提案活動に従事している。保守・運用サポートのスペシャリストとして、過去の経験を活かした運用者目線でのヘルプデスクツールの提案・導入に定評がある。


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