設計業務のDX推進による属人化の解消(他社に学ぶ DXの歩き方コラム 製造業編第5回)
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目次
産業用器具を製造・販売するI社での設計業務のDX推進事例をご紹介します。
DX推進に取り組む背景と目的
I社では、あらかじめ仕様が定められた規格品の製造・販売を行っていますが、売上の大半が顧客から依頼を受けて製品を設計・製造する受注生産でした。
そのため、以下のような問題が発生していました。
- 顧客への提案時、顧客の要望を反映した営業用の簡易図面を作成し提示していたが、その図面は都度設計スタッフが作成していた
- 経験の浅い営業スタッフは、営業用簡易図面作成に必要な情報を聞き出せていないケースが多かった
- 設計スタッフは営業用の簡易図面作成に時間がかかり、顧客への提案が遅れがちであった
- 設計スタッフは営業用の簡易図面を作成することに時間を取られ、本来の設計業務に支障が出始めていた
- 設計スタッフの残業時間が増加傾向にあった
- 営業用の簡易図面を作成しても、受注できないケースが多々あった
上記問題を解決するため、設計業務(特に、営業用簡易図面作成業務)のDX推進による業務改善に取り組む事にしました。
DX推進の目標
目標を実現する上でまず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。
- 提案および設計に関わる業務全般のDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
- 目的・目標達成に向けた改善策
- システムツール導入含めた改善スケジュール
併せて、以下のような効果も狙いました。
- 営業スタッフが設計スタッフに頼らず提案できるようにする
- 経験の浅い営業スタッフでも営業用簡易図面作成に必要な情報を漏れなくヒアリングできるようにする
DX推進への取り組み
目標を実現する上でまず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。
- 提案および設計に関わる業務全般のDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
- 目的・目標達成に向けた改善策
- システムツール導入含めた改善スケジュール
上記のような企画・計画を策定した上で、設計業務のDX推進に取り組みました。
取り組みのポイントは以下の通りです。
- 仕様ヒアリングを入力するフォームの作成
製品の幅や長さといった寸法、穴の形状や位置等、簡易図面作成に必要な仕様を入力できるフォームを「Microsoft Power Platform」にて作成しました。
そのツールを活用し顧客とのやり取りをMicrosoft Teamsを介し、質問事項を確認しながら入力することで漏れなく仕様が把握できるようになりました。 - 簡易図面作図システムの構築
あらかじめ関連する部品モデルをマスターモデルとして登録し、ヒアリングした顧客が要望する製品仕様をツールから入力することで自動的に簡易図面を作成するシステムを構築しました。
その結果、大半の営業用簡易図面を自動で作成できるようになりました。
DX推進による効果
営業用簡易図面作成業務のDX推進により、設定した目標を達成することができました。また併せて以下のような効果を得ることもできました。
- 設計スタッフの業務負荷軽減
大半の営業用簡易図面作成をシステムが自動で行えるようになったため、設計スタッフの業務負荷が大幅に軽減し、システム導入3か月で残業時間を40%削減することができました。 - 提案スピードの向上
以前は、顧客からの依頼を受け、簡易図面を作成し、提案するまでに1週間以上かかるケースがほとんどでしたが、取組後は、当日遅くとも翌営業日には提案できるようになりました。 - 顧客満足度の向上
インターネット環境にセキュアに接続し、ツール入力と簡易図面を顧客の要望でその場で見せることができるようになったため、でき上がる製品をイメージし易くなり、商談も進め易く、顧客からも喜ばれるようになり、受注確率が向上しました。 - さらなる業務変革への取り組み
営業用ではあるものの、図面作成の自動化を実現できたことで、実際の製品に使用する図面についても作成の自動化に取り組むこととしました。これが実現すれば、設計スタッフの業務負荷を大幅に減らすことが可能になります。
今回導入・活用したサービス
- 簡易図面作成システム:CADシステム
- 仕様入力フォーム:Microsoft Power Platform
- コミュニケーションツール:Microsoft Teams
「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。
本コラムは2022年3月現在の情報を基に作成しています。