DXコラム

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営業状況の見える化によるデータドリブン経営への取り組み(他社に学ぶ DXの歩き方コラム サービス業編第6回)

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業務用アパレル商社のL社における「データドリブン経営」への取り組み事例をご紹介します。

1.DX推進に取り組む背景と目的

企業向けに制服や作業服の仕入れ、販売を行うL社では、経営者の指示により作成した「実績レポート(経営判断に必要な営業面の指標をまとめたレポート)」をもとに、週1回の営業会議の場で今後の施策や活動指針を検討していました。
しかしながら、売上増加に伴い、営業人員増員、顧客数増加、対応案件数増加など、従来の実績レポートによる報告では問題が発生するようになりました。

  • 営業活動、案件数、売上見込み、売上実績等、営業関連のデータは、複数のExcelや販売管理システムでバラバラに管理されており、「実績レポート」の作成に時間と手間がかかる
  • 週1回の「実績レポート」では、営業状況(案件数、売上実績等)をリアルタイムで把握することができず、目標達成に向けた対応が遅れるケースが増えていた
  • 「実績レポート」では経緯が見え難いため、営業会議の場での報告・確認に時間を要し、会議が長時間にわたるケースが増えていた

上記問題を解決するため、まずは、営業面からDX推進によるデータドリブン経営の実現に取り組む事にしました。


2.DX推進の目標

データドリブン経営の実現にあたり、まずは以下を目標として設定しました。

「営業状況をリアルタイムで把握できるようにする」

併せて、以下のような効果も狙いました。

  • 営業会議の改善
    “会議時間短縮”および、”営業成果向上に向けた対策等、戦略的な議論にかける時間を増やす”
  • データ管理の標準化・効率化

3.DX推進への取り組み

目標を実現する上で、まず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

  • 営業部門および、管理部門(主に販売管理)に関わる業務のDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
  • 目的、目標達成に向けた改善策
  • システムツール導入含めた改善スケジュール

上記のような企画・計画を策定した上で、DX推進によるデータドリブン経営の実現に取り組みました。

取り組みのポイントは以下の通りです。

  1. データ入力タイミングの見直し
    これまでは、週1回の営業会議の2営業日前までに、案件内容、案件数、売上見込み等、営業関連データを複数のExcelフォーマットに入力していました。
    改善後は、案件対応後の進捗、変更があり次第、都度スマートデバイスを利用し、「Microsoft Power Apps」にデータを入力することとし、「Microsoft Azure」上のSQLに収集可能なデータを取り込むようにしました。

  2. データ収集の自動化
    「実績レポート」作成にSQLからの営業データと販売管理システムからのデータをAPIと連携させ、「Microsoft SharePoint」上に表示し、見える化を実現しました。

  3. 「実績レポート」をリアルタイムに閲覧可能に
    「Microsoft SharePoint」上に顧客毎に表示された結果とWebサイトから取得したデータなどを「Microsoft Power BI」で表示し、「オポチュニティ(販売機会管理)レポート」として、閲覧できるようにしました。

4.DX推進による効果

DX推進によるデータドリブン経営への取り組みにより、以下のような効果が得られ目的を達成しました。

  • 営業状況把握の実績レポートを、スマートデバイスから入力できるようにし、手間の削減とリアルタイム性を実現
    週1回の「実績レポート」作成は、上記取組の実施にてリアルタイム作成となり、まとまった空白時間を営業活動等、より生産性の高い業務に割けるようになりました。

  • 営業成果向上に向けた対策を早期に打つことができるようになった
    経営者や営業責任者がアポイント数や提案数、見積提出数、受注数やオポチュニティレポートを活用し、今後の営業活動方針を指示しやすくなったことで、思うような成果が出ていない施策や活動に対して追加対策を打てるようになりました。また、オポチュニティレポートを参照することで会議時間の短縮もできました。

  • 全社でのDX推進プロジェクトに発展
    今回の営業関連データの見える化により、経営者自身がデータドリブン経営の重要性を理解したことで、全社のDX推進に取り組むことを決定し、会社全体のDX戦略・計画作りから取り組んでいます。

今回導入・活用したサービス

  • 実績レポートの登録:Microsoft Power Apps
  • 実績レポートのデータベース:Microsoft Azure SQL Database Managed Instance 他
  • オポチュニティレポート:Microsoft Power BI
  • オポチュニティレポートの掲載先:Microsoft SharePoint

「DX推進」に関しましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2022年4月現在の情報を基に作成しています。




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