【イベント登壇レポート】公益財団法人大阪産業局主催:デジタル推進セミナー「アイデアソン」で、自社のDX人材を育成しよう!
2023年2月17日(金)、公益財団法人大阪産業局主催イベント【デジタル推進セミナー】「アイデアソン」で、自社のDX人材を育成しよう!に、弊社ソリューション本部 営業統括課 課長 岩原裕樹と同課DX推進支援担当 佐藤泰央が講師として登壇しました。本記事は当該セミナーのレポートです。興味のある方はご覧ください。
目次
はじめに
世間では、企業・組織において、(DX:デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要であると言われています。
しかし、
- DXを実現する必要があることを経営層が認識していても、従来の業務効率化の延長線と誤解している。
- ビジネスモデルの抜本的な変革であることを認識していても、今までの組織活動や、人材活用面からは全く新しい取り組みとなるため、何から手を付けたらいいか、どんなスキルが必要かわからない
といった、問題を抱えている企業・組織が数多くあります。
そこで今回のセミナーでは、DXの本質の理解と、DX人材育成の必要性を踏まえたうえで、自社業務改革のためのアイデアソン(※1)を通して、自社の課題抽出、解決策の検討、そのためのアイデア出しを実施いただき、その実現のために必要な今後導入すべきローコードをはじめとするデジタルツールを検討いただきました。
※1 アイデアソンとは
回ごとに特定のテーマについて、さまざまな分野の人々が集まって、グループなどでディスカッションを通じて、新たなアイデアの創出や、最新のデジタル機器や技術をビジネスでどうやって生かすか、ビジネスモデルの構築などを2時間や1~3日間などの短期間でアイデアをブラッシュアップしていく手法でアイデアとマラソンを組み合わせた造語です。
DXの本質とDX人材育成の必要性について
DXとは、従来ITベンダーなどが宣伝していたような業務の効率化や改善などではなく、現状からの改革が主眼です。経済産業省の定義では、現行の業務の「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
参考: 「DX 推進指標」における「DX」の定義
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省 令和元年7月「DX 推進指標」とそのガイダンス より)
そのためには、下記3段階で進んでいく必要があると言われています。
- 各業務で発生しているデータの電子化
(データがコンピューターに保存されている状態) - 特定の業務プロセスを整理してまるごとデジタル化
(デジタライゼーション) - デジタル技術を活用して会社全体のビジネスモデルや風土を変革
(デジタルトランスフォーメーション)
ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社 ソリューション本部 営業統括課 課長 岩原裕樹
デジタライゼーションでは、製品/サービス、業務、プラットフォームについて各段階のDX推進の具体的な対策の構築と、ある程度は業務アプリの内製化が必要です。そして、DXに成功している企業においては、各部署にデジタル技術に精通しているリーダを配置している傾向が強いと言われています。
DXを考える上で、自社の社員教育が重要
①DXを正しく理解する
②デザインスキルを身につける
③デザイン思考を考え場を提供する
まず自分の業務の改善
(楽になる)
➡
部門の業務改善
(楽しくなる)
➡
お客様の業務改善
(楽しませる)
教育に必要な要素の解説
DXに成功している企業は各部署にデジタル技術に精通しているリーダを配置していると説明しましたが、各部署に最初から在籍していることはまずありません。各部門の現場業務のわかっている方にDXの真の目的を理解していただいたうえで、各部門の業務を改革していくにはどのようなデジタル技術を使えばどのように変革できるかをイメージできるようになっていただく必要があります。
知識
(正しいDXの理解)
価値を生む技能
(デジタルスキル)
熱意
(変化への覚悟)
デジタルスキル活用のはじめの一歩
デジタライゼーション(特定の業務プロセスを整理してまるごとデジタル化する)では、ある程度は業務アプリの内製化が必要と説明しました。しかし、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021」によれば、日本はDX先進国のアメリカに比べデジタル人材が大幅に不足しているとレポートされており、すぐにプログラムを作成できる人を採用することは難しいのが現状です。では、現在在籍している人材で対応できるかというと、今までプログラムの開発経験のない人がいきなり何百行ものプログラムを作成することは現実的に不可能に近いということは言うまでもありません。そこで、最近注目されているのが、ドラッグアンドドロップと必要最小限のコーディングでアプリケーション開発ができるローコード(Low Code)開発という手法です。セミナーでは、下記のローコード開発、活用事例3件を説明しました。
コロナ禍で在宅勤務、時差出勤が急に実施されたことにより課員の勤務形態の把握と報告を人事部門に報告が必要となり、出社人員の割り振り、出社実績集計の手間削減と正確性を確保するため管理アプリを現場で作成、全課へ展開。
商談終了後の日報記載時間削減を実現。同時に従来集計しにくかったヒアリング内容をカテゴライズしトグルボタンでの入力を実現。マーケティングの基礎データとして活用。
社員の業務内容や業務時間を把握し、業務アサインや人員配置、繁忙期対策の人員予測を実現。起案から作成完了まで約5時間で開発完了。
「従来の開発」と「ローコード開発」の比較(コーディングを主体とした開発)
比較項目 | 従来の開発 | ローコード開発 |
---|---|---|
開発に要する 期間(コスト) | 長期間(高い) | 短期間(低い) |
作成するシステムの 自由度 | 高い | 低い |
人材の育成にかかる時間 | 長期間 | 短期間 |
代表的なローコード開発ツール
Microsoft Power Apps
さまざまな業務に対応するテンプレートアプリが用意されており、業務に沿って設計されたテンプレートアプリを呼び出して、必要なカスタマイズを実施するだけで業務アプリが完成
サイボウズ kintone
さまざまな業務に対応するテンプレートアプリが用意されており、業務に沿って設計されたテンプレートアプリを呼び出して、必要なカスタマイズを実施するだけで業務アプリが完成。
ネオジャパン AppSuite
部署単位の小さいExcel業務や紙での申請業務をシステム化する用途で利用するのに適している。
アイデアソンで自社の業務改善のツールを発想しよう
某自動車部品会社様で実施したアイデアソン実施例を説明した後、ご参加いただいた皆様の会社における、
- 業務内容を整理
- 現在の課題抽出
- 課題解決のためのアイデア創出
- そのアイデア実施のメリット
を、30分でまとめていただきました。
ご参加いただいた方にまとめていただいた内容をこの場で公開できないのが残念ですが、複数の方に参加いただいた企業様もあり、短い時間ではありましたが熱心に検討いただきました。
今後の自社での展開について
繰り返しになりますがDXを始めるにあたって、
DXの価値を再認識し、
正しく理解した上で目標を設定し、
それに向かって取り組んでみる。
共同作業として発想し、実際の活動が始まれば継続的にサポートする
ことが重要です。
ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社 ソリューション本部 営業統括課 DX推進支援担当 佐藤泰央
DXを推進する人材としてはITを分かっているだけではなく、自社のビジネスのことも分かっている人材が集まって部門の垣根をこえて主体的に熱意をもって取り組んでいくという、意識改革や行動変容が必要です。
ディーアイエスサービス&ソリューションは、この「知る」「理解する」「発想して試す」、そして「実践をサポートする」というサイクルを重視した、一般教育と実際にデジタルツールを活用した実践教育のプログラムを提供しています。興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
主催:公益財団法人大阪産業局からのコメント
公益財団法人大阪産業局
企業支援事業部 ものづくり支援チーム シニアプランナー
DX推進プロジェクト プロジェクトリーダー 田邊 暢平氏
受講いただいた中小企業の方々のローコードツールへの注目度の高さがうかがえました。講座後の講師への質問も非常に活発で好評でした。大阪産業局はDX推進のための有益な情報を提供してまいりますので、今後もディーアイエスサービス&ソリューション株式会社にはご協力いただけけたら幸いです。また、大阪産業創造館(公益財団法人 大阪産業局が運営している大阪市経済戦略局の中小・ベンチャー企業支援拠点)が提供している中小企業支援プログラムに関するサイトもぜひご覧ください。
今回は、公益財団法人大阪産業局様に機会をいただきましたが、個別に企業様向けの勉強会、アイデアソンも実施していますので興味がある方はディーアイエスサービス&ソリューションにご依頼ください。
講師への質問とその回答(一部紹介)
質問
ローコードで作成して行くにあたって、とっかかりが見つからない。どのようにすれば開発スキルが身につくか教えてほしい。担当者は、ExcelでVBAが組める程度のスキルはある。
回答
ローコードツール「Microsoft Power Apps」で作成する参考になると思われます下記Webページをご案内します。
【コラム】三島正裕のOffice 365コラム
「Power Appsで来訪者管理アプリを作成する」
https://dx.si-jirei.jp/cloud-column-microsoft_powerapps-5/
【コラム】三島正裕のOffice 365徹底活用コラムPower Apps編
「Power Appsでプリンタートナーの在庫管理をする」
https://dx.si-jirei.jp/cloud-column-microsoft_365-6/