Microsoft AVD

今注目の「Azure Virtual Desktop(AVD)」について(岩原裕樹のクラウド徹底活用コラム 第2回)

はじめに

今回は「Microsoft Azure(以下、Azure)」のサービスのひとつである「Azure Virtual Desktop(以下、AVD)」をご紹介いたします。

「AVD」とは、一言でいうとクラウド上に仮想的にコンピュータを用意し、そこで「Windows」やアプリケーションを使うことができるようになる、いわゆる「DaaS(Desktop as a Service)」という分野のサービスです。
「AVD」は2019年に「Windows Virtual Desktop」という名称で登場しました。その後、2021年に名称が変更され現在の「Azure Virtual Desktop」となりました。
リモートワークやハイブリッドワークなどの多様な働き方が必要になってきたことで、今「AVD」が注目されています。利用者の環境や場所に影響を受けることなく、管理者にとっては利用環境の整備やセキュリティ対策がしやすいこのサービスを利用する機会がどんどん増えてきているのではないかと思われます。

そこで、今回は「AVD」の特徴やメリット、利用するための条件、あるいは同じMicrosoftのサービスで話題になっている「Windows 365」との違いなどについて、具体的に説明していきたいと思います。


「AVD」の特徴とメリット

まずは、「AVD」の特徴とメリットについて、いくつかご紹介いたします。

  • インターネット回線があれば社内からはもちろん、自宅やカフェなど、どこからでも利用が可能です。
    Azure上(クラウド環境)に構築するサービスであるため、インターネットへ接続できる環境があれば、いつでもどこからでもアクセスできます。

  • Windows、macOS、iOS、Androidなどあらゆる環境からのアクセスが可能です。
    アクセスするデバイスはWindowsに限らず、macOS、iOS、Androidからリモートデスクトップの専用アプリやWEBブラウザからアクセスできます。

  • 設定は比較的簡単で、すぐに利用を開始できます。
    ベースとなるイメージ(マスターイメージ)をカスタマイズする場合、ある程度の作業が必要となりますが、「AVD」の基本的な設定は必要項目の選択や名前付けなどが多く、ウィザード形式で進めていくことができます。そのため高度な知識を持ち合わせていなくても比較的簡単な設定と展開により、すぐに利用を始めることができます。

  • 使った分だけ費用が発生する従量課金のため、使い方によって費用の節約にもなります。
    「AVD」のコンピューティングリソース(サーバーのリソース)の利用料金は分単位で使用した分だけに費用がかかる仕組みになります。使わない時には停止しておくことが可能なため、日中だけの利用や、月末・月初だけの利用、繁忙期のみ利用することで、費用の削減につなげることができます。※記憶域となるストレージなどには固定費がかかります。

  • 「Microsoft Intune(以下、Intune)」で他の端末と一括で設定やアプリケーション等の管理ができます。
    「AVD」のデスクトップ環境などの管理については、他のPCと同様に「Intune」にて行うことができます。デバイスやユーザーのグループ化や条件付きアクセス、セキュリティ設定などについても「AVD」だけの特別な設定は必要無く、他のPCと同様に管理できるので、管理者にとっても非常にメリットがあります。会社からの支給PCだけではなく、個人保有のPCからでも安心してアクセスする環境が構築できます。

  • ひとつのアカウントで複数のAVD環境を利用できます。
    1ユーザーにつき1環境というサービスが多いですが、「AVD」では、1ユーザーが複数の仮想PC環境を持つことができます。例えば複数の「Windows 10」環境を用意して、運用環境と開発環境を分けることや、「Windows 11」と「Windows 10」の環境を用意して検証環境として使うなど、使い分けることで効率と生産性が向上します。

  • 複数ユーザーが「ひとつのAVD環境」にアクセスできます。
    「AVD」では、マルチセッション対応のOSを利用することができます。これは、ひとつの仮想PC環境を複数のユーザーで共有できるという機能です。通常のPCでもWindowsへのログインを複数のユーザーで行うことができますが、同時に利用することはできません。マルチセッションは文字通りセッションを複数同時に確立する(利用する)ことが可能となります。もちろん各ユーザーに適切なライセンスが割り当てられていることが前提にはなりますが、ひとつのハイパワーなPCを複数人で共有することで、一人ひとりに専用でPCを割り当てるよりもコスト最適化できます。

「AVD」の利用条件

「AVD」を利用するには、「Azure」のサブスクリプション(環境)の他に以下のライセンスのいずれかが必要になります。

  • Microsoft 365 E3
  • Microsoft 365 E5
  • Microsoft 365 F3
  • Microsoft 365 Business Premium
  • Windows 10/11 Enterprise E3
  • Windows 10/11 Enterprise E5

※アカデミックライセンスでは

  • Microsoft 365 Education A3
  • Microsoft 365 Education A5
  • Windows 10/11 Education A3
  • Windows 10/11 Education A5

です。

※「AVD」で使用するOSとして、「Windows Server 2012 R2、2016、2019、2022」をご利用の際にはソフトウェアアシュアランス付きの「RDS CAL(リモート デスクトップ サービス クライアント アクセス ライセンス)」が必要になります。


「AVD」と「Windows 365」の違い

ここまで見ていただいて、「Windows 365」というサービスも最近登場したけれど、何が違うの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
「Windows 365」は2021年8月にサービスが開始されたクラウドPC(環境)になります。「Windows 365」もクラウド上で「Windows環境」を利用できるサービスで、専用アプリやブラウザからアクセスできる点や「Intune」で他のPCと一元管理ができる点も同様です。こうして見ると、確かに「AVD」との共通の部分も多いです。
では、何が違うのかということですが、「AVD」と「Windows365」の大きな違いは

  1. 「AVD」のコンピューティング費用が従量課金であるのに対して、「Windows 365」は月額固定となる。
  2. 「AVD」では、1ユーザーが複数環境を利用できるのに対して、「Windows 365」ではひとつの環境のみ利用可能となる。
  3. 「AVD」では、マルチセッションに対応しているのに対して、「Windows 365」ではシングルセッション(専有環境)のみとなる。

というところになります。

比較項目Microsoft AVDWindows 365
費用従量課金月額固定
1ユーザーの利用可能環境数複数環境の利用可ひとつの環境のみ
利用可能セッション数マルチセッション可能シングルセッションのみ

これらの違いについては勿論、どちらが良くてどちらが悪いという訳ではありません。例えば利用シチュエーションとして、一時的でビジネスアワーのみであれば「AVD」の方がコストは抑えることができ、逆に会社貸与のPCのように、いつでも利用できる専用環境を手間無く提供したい場合は「Windows 365」の方がいいかもしれません。
多様な利用環境に応じて使い分けることができるサービスが新たに登場したという意味で、「Window 365」も非常に魅力的かと思います。


まとめ

さて、「AVD」について説明をさせていただきましたが、如何でしたでしょうか?

クラウド環境でWindowsの利用環境を構築でき、アプリケーションも利用できるので、インターネット環境があれば自宅でも外出先からでも、もちろん社内からでも、どこからでも利用できる「AVD」はこれからの多様な働き方に対応するために便利で役立つサービスだと思います。

例えば、自宅で使っているPCがMacだとしても「AVD」でWindowsを利用し、社内のデータへも安全にアクセスできますので、会社にいる時と同じ環境で仕事をすることができ、個人のPCにデータなどが保存される心配がないことも魅力かと思います。

また、管理者の立場からも条件付きアクセスによる制限や、「Intune」を用いることにより、マルウェア対策なども含めたセキュリティ対策も一元で管理できます。会社貸与やBYODなどをほぼ意識することなく、退職者が出た場合でもPCの入れ替えや再インストールは必要なく、「AVD」の利用を停止するだけで済むのも管理工数削減には大きなメリットかと思います。

もっと詳しい情報知りたい、あるいは導入を検討したいのでデモが見たいという方は、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2022年3月時点での情報を基に作成しています。


著者プロフィール
岩原 裕樹(いわはら ひろき)
神奈川県出身。マイクロソフト クラウドサービス提案・販売のスペシャリスト。2000年入社、2021年当時注目を浴び始めていたセキュリティ拡販プロジェクトに参画。大手セキュリティベンダーとともにインターネット関連業界へのセキュアーなWebサービス環境の構築支援に従事。2019年に弊社「Microsoft Power Platform」を使った業務改革に着手。社内での活用アプリの企画、開発を主導。その経験に基づき多くのユーザ企業に対してセキュリティを含めDX推進に繋がるシステム導入実績を持つ。


「岩原裕樹のクラウド徹底活用コラム」一覧
第1回:Windows Server 2012 / 2012 R2 EOS に向けて
第3回:CISCOソリューションで実現する「SASEモデル」とは?

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