DXコラム

【コラム】中堅・中小企業が進めるべきDX[三浦茂のDXの歩き方コラム 第2部(全3部)]

DX推進は、現在大企業中心の取組みと思われておりますが、実は中堅・中小企業のほうが取組みやすい施策だと考えます。経営者のビジョンが伝わりやすく、DX推進の障壁になるレガシーシステムがない企業が多いこと、デジタル化の推進にあたり、政府からも「IT導入補助金」「ものづくり補助金」など様々な支援を実施していることが要因になります。第2部では、DXを推進し成果を出している中堅・中小企業における導入事例を紹介し、そこで起きた課題や取組について紹介させていただきます。

中堅・中小企業におけるDX推進

DXを推進している企業(物流会社)での取り組み

DXを推進している企業様ではどのような取り組みで進めているのでしょうか?
一つの方法として、自分が統括している業務、統括しているシステムで時間(コスト)がかかっている業務は何かを洗い出す所からスタートされている企業様がいらっしゃいます。重要な業務だけど時間が掛かる業務は、クリティカルパスと呼ばれています。この業務に対してICTを使って、もしくはICTシステムを改善して時間短縮出来れば、上記の表のレベル1から2へランクアップです。このフェーズは効率化のランクですね。
実例を紹介させて頂きます。

 弊社のお客様である、流通業のA社様では、物流運営の仕組みの見直しに着手しました。
当初、営業部門から物流部門へメールベースで配送の依頼を行っていましたが、
1. 非定型のメールでの依頼のため配送担当の物流部門で、商品、個数、日時などの確認に大きな手間がかかっていた。(時間が掛かる業務)
2. 取扱商品が違う営業部門毎に配送の依頼を行うため、小売店に対して同一日に別々の便で配送し余分なコストが発生することがあった。(最適化できていない業務)

上記の課題に対して、受注した営業部門毎に個別にメールで配送指示を実施していた業務を下記のように改革
1. 物流部門を設立し、配送業者への指示は物流部門から一元管理して行うことにより、製品毎の配送から、小売店毎の配送に変更、配送コストが削減された。(仕組みの改革)
2. 営業からの配送依頼はメールベールから、Webベースでの入力に変更、そのため確認、転記の時間が削減でき、手配ミスも削減された(省力化、自動化、配送データのDB化による経路の最適化)
3. システムをクラウドに乗せることにより、システム対象範囲を本社だけでなく、グループ会社にまで広げることが実現できた。(グループ企業を含めた最適化)
4. クラウド対応のため、コロナ禍のなかでも在宅で業務の遂行が行えている。

業務の一部に対しての取り組みですけど、十分にDXへ向けての取り組みですよね。

IT担当者不足を補うローコードツール

第一章で、事業部門でプログラムを開発することは難しいと書きましたが、プログラム作成を事業部門のユーザが構築していく場合、ローコードツールと呼ばれる、ITシステム開発経験のない方でも比較的簡単にプログラム開発ができるツールを利用することも1つの方法になります。今回紹介したA社様のシステムでは、1部分をこのローコードツールで構築しています。Microsoft社では「Power Apps」と呼ばれる製品があり、この製品を利用すると必要最小限のコーディングと、あらかじめ用意されたパーツをドラッグ&ドロップで設定をするだけで、ビジネスアプリを作成することが出来ます。これは、情報システム部門や開発部門がこれまで担当をしてきた社内システム構築の負担を軽減し、IT技術者不足の問題解決にも繋がります。

「抽象化のやぶれ」に注意が必要な、ローコード開発

ローコード開発というのは、 コーディング(プログラミング)の作業を従来よりも少なくすることが出来る開発手法です。プログラム開発者の負担を減らすことが可能なツールであり、人員確保が難しい中堅・中小企業にとっては、有効な開発手法といえます。しかし、求められる要件が複雑でローコード開発だけでは実現出来ない場合が発生します。「少し想定外のことをやろうとすると途端に難しくなる」ことを「抽象化のやぶれ」と言います。
ローコード開発はシステム開発の負担を軽減するには効果的ですが、複雑で高度な要件をカバーするためには、従来型のプログラム開発すべき部分も出てきます。その切り分けは情報システム部門の出番かもしれません。

社内に適切な数のIT人材を確保することの難しい中堅・中小企業では、外部(SIer)に丸投げすることは避けつつも、ITに詳しい人材を社内で教育しつつ、必要に応じて相談やアドバイスをもらえるSIerとの関係を構築しておくことがDXを推進していく上で大きなポイントになることでしょう。


著者プロフィール
三浦 茂
兵庫県出身。大和紡績株式会社に入社後、国内大手メーカーに常駐し当該メーカーのグループ会社における生産管理システム・自動出荷システムや、公共団体向けのデータ共有・配信システムなど数多くのICTシステム構築に携わる。近年はDISグループの主要なシステム構築プロジェクトにも参画し、現在ICTマーケティングのスペシャリストとして活動をしている。


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