Azure Files

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【前編】オンプレミスファイル、クラウド化の課題解決:なぜ「Azure Files」が選ばれるのか?(岩原裕樹のクラウド徹底活用コラム 第6回)

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はじめに

早速ですが、皆さまはクラウドサービスをどのくらい活用していますか?メールやコミュニケーションツールはもちろん、サーバーのクラウド化にも取り組まれている方も多いと思います。しかし、サーバーのクラウド化は少し難易度の高い部分があります。
社内で「Microsoft 365」や「Google WorkSpace」 を活用している場合は、ファイル共有基盤として「SharePoint」や「Google Drive」を検討する場合が大半かと思います。実際、サーバーのクラウド化を検討している企業様に、「保有するファイル全てを『SharePoint』へ移行して円滑に運用することが可能なのか?何か問題はないのか?」などと、ご相談をいただくことが増えて参りました。私の考えを申し上げると、「SharePoint」などのクラウドサービスは、日々発生するドキュメントや表計算などのファイルの利用については安全・円滑に運用できる非常に優れたサービスだと考えます。しかし、動画やCADなどの大容量ファイルを扱う場合や、法令で定められている長期間の保管が必要なファイルには、長期保存にともなう容量増加や容量制限、容量単価の問題で不向きと捉えるケースもあります。


「Azure Files」を活用

そこで、今回ご紹介するのが、「Azure Files」というクラウドストレージサービスです。
「Azure Files」 は、Microsoftが提供するフルマネージドのファイル共有サービスで、その一番の特徴はSMB(詳しくは後述)やNFSプロトコルを用いてクラウド上のファイルをインターネット経由でローカルサーバーのファイル同様にアクセスできるところにあります。
VPNなどの環境がなくても、インターネット経由でファイルにアクセスできるのは、テレワークの利用者にとって非常に便利ですし、管理者としてもVPN環境の構築、維持などの運用が不要となります。また、「Azure」のストレージを使うので、ディスク容量を柔軟に拡張できる点でもメリットがあります。(図1)

図1.Azure Files 構成イメージ

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なお、SMBはServer Message Blockの略で、コンピューター間でのファイルやプリンターなどを共有する業界標準のプロトコルです。このことにより、「Azure Files」は、既存ファイルサーバーやNASからの入れ換えはもちろん、クラウド開発におけるファイル共有を実現することも可能です(※)。

※SMBとNFSプロトコルは同時に使用できません。また対応する仕様はそれぞれのプロトコルで異なります。


「Azure Files」の基本仕様

「Azure Files」は文字通りAzure上のストレージサービスですので、同期的に3つコピーが保持される3重化されたストレージを基本として、エリア内で冗長化をおこなう「ゾーン冗長」、東西の地理的に離れた位置に冗長化をおこなう「ジオ冗長」などもサポートしています。ストレージのレベルは、高速な読み書きを可能とする Premium から、アーカイブに最適な Cool まで4段階が用意され、用途や利用頻度によって設定が可能です。また、「Azure Files」に保存したデータは、永続的なバックアップを取得し保管をおこなう、「Azure Backup」 の対象にもなります。もちろん、必要な時に必要なだけ容量を増加させることが可能ですので、オンプレミスのように容量を気にしながら運用する心配もありません。


「Azure Files」のコスト

気になるコストですが、こちらはストレージのレベルや冗長性により単価や計算方法が変わってきます。Premium 以外のレベルでは、実際にデータ保存されている使用済み容量に対して課金されますが、Premium レベルでは、使用済み容量にかかわらず、確保した容量で課金がおこなわれるので注意が必要です。またデータ転送に伴う課金も発生しますのでご注意ください。
拡張性や安全性を考慮すると、十分魅力的な価格ではありますが、少しでも安くストレージを使用したい場合は使用する容量を1年または3年契約で予約することにより、クラウドのメリットそのままに、さらに安価にストレージを活用できます。


さいごに

オンプレミス環境に設置していたNASやサーバーを撤廃し、クラウド化する方法の1つとして「Azure Files」をぜひ検討いただければと思います。

ご興味をお持ちいただましたら、ぜひともディーアイエスサービス&ソリューションにお気軽にお問い合わせください。

宜しければ、【後編】「大容量のファイルには『Azure File Sync』で高速アクセスを確保」もご覧ください。

本コラムは2023年2月時点での情報を基に作成しています。

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著者プロフィール

岩原 裕樹(いわはら ひろき)
神奈川県出身。マイクロソフト クラウドサービス提案・販売のスペシャリスト。2000年入社、2001年当時注目を浴び始めていたセキュリティ拡販プロジェクトに参画。大手セキュリティベンダーとともにインターネット関連業界へのセキュアーなWebサービス環境の構築支援に従事。2019年に弊社「Microsoft Power Platform」を使った業務改革に着手。社内での活用アプリの企画、開発を主導。その経験に基づき多くのユーザ企業に対してセキュリティを含めDX推進に繋がるシステム導入実績を持つ。


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