Power Apps アプリの保存と共有について(三島 正裕の Microsoft Power Platform 業務効率化コラム 第10回)
目次
はじめに
Microsoft Power Platform 業務効率化コラムを書かせていただいている三島です。今回も業務改善やDX推進のヒントになる話題を皆様にお届けしたいと思います。
今回のテーマはPower Appsアプリの保存と共有についてです。Power Apps アプリを他のユーザーと共有するには、アプリが「Azure Storage 上(以下クラウド上と呼ぶ)」に保存されている必要があります。開発画面の右上にある保存ボタンを押すと、アプリがクラウド上に保存されます。
アプリ保存のルール
クラウドに保存されたアプリは保存される度に新しいバージョンとして保存されます。アプリのバージョン履歴は画面上部の設定ボタンの右にある「・・・」より「アプリのバージョン履歴」から確認することができます。履歴は新しいバージョンの順番に並んでいますが、公開済みの項目に「ライブ」と表示されている箇所があるのがわかると思います。「ライブ」は公開中のバージョンであることを示しています。
保存したアプリは公開しないと利用者側に反映されない
修正したアプリを保存すると、即座に修正内容が公開中のアプリに反映されるわけではなく、開発者側で公開しない限りは未公開の状態で保存されています。
アプリを公開するには、開発者画面右上にある公開ボタンを押します。
公開するバージョンを画面で切り替えて選択することはできませんので、もし過去のバージョンを公開するのであれば、一度バージョンを復元した状態で公開する必要があります。アプリの復元は、過去6か月以内に作成されたバージョンのみ行えます。
【参考】キャンバス アプリを以前のバージョンに復元する
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-apps/maker/canvas-apps/restore-an-app
Microsoft Ignite(2023年11月14日から17日)
アプリを復元するには、「アプリのバージョン履歴」から「バージョン管理のオプションをさらに表示する」を選択します。この画面では各バージョンの詳細情報を確認することができます。復元をするには、各バージョンの「・・・」より「復元」を選択します。
「復元」を選択すると、選択したバージョンが最新バージョンとして保存されます。
公開をするには、選択したバージョンを開発画面で開いた状態で「公開」ボタンを押します。
アプリの共有
アプリを共有するにはアプリ画面から各アプリの共有メニューを開きます。共有メニューの上にある入力フォームから名前、またはメールアドレスを入力すると、テナントに登録されているユーザーを検索することができます。
検索したユーザーを選択し、「共有」ボタンを押すとアプリが共有されます。共有するユーザーに対して招待メールを送信したり、アプリの編集権限を与えたりすることも共有画面で設定できます。
アプリを共有する際に注意しておきたいポイントが、データソースへのアクセス許可です。アプリからデータソースへのコネクタはアプリと一緒に共有されますが、データソース自体は共有されませんので、個別に設定する必要があります。当アプリで作成している業務報告アプリは OneDrive for Business のフォルダに置いたExcelファイルがデータソースですので、アプリを共有した後に、OneDrive for Business のフォルダに対してもアクセス許可を設定する必要があります。アプリに関係するデータソースは共有画面の「データのアクセス許可」に表示されますので、共有するユーザーに対してアクセス許可があるかどうかを必ず確認してください。
Power Apps アプリの共有はセキュリティグループを作成しておくと管理がしやすくなります。「利用者が同じ業務アプリ」が複数ある場合、セキュリティグループをアプリに共有しておけば、メンバーの更新があった際の対応もセキュリティグループの操作のみで済みます。セキュリティグループはMicrosoft 365 管理センターの「アクティブなチームとグループ」から作成します。アプリの共有メニューで呼び出す際は、セキュリティグループ名で呼び出します。
さいごに
業務報告アプリの解説も今回で10回目となりました。Excelファイルからアプリを自動作成するPower Apps の機能は非常に便利ではありますが、自動作成してから実務で運用できるレベルにまでカスタマイズするのは少し大変で、実際に取り組んでみると、学習しなくてはならないポイントが色々と出てくるのではないかなと思います。
当コラムでは、皆様から特によくいただくご質問を基に、アプリの作り方を解説してみましたが、少しでも皆様の学習のお役にたてれば幸いです。
次回も業務に役立つアプリの作り方を解説していきますので、引き続きよろしくお願い致します。Power Platform に関しましては、お気軽にディーアイエスサービス&ソリューションにお問い合わせください。
筆者プロフィール
ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社
クラウドサービス 担当 三島 正裕(みしま まさひろ)
2002年入社。島根県出身。
Microsoft 365 に関する製品導入や初学者向けの教育支援を担当。Power Platform を中心に教育コンテンツの開発やサービス企画をする傍ら、社内向けの業務アプリ開発にも取り組んでいる。
本コラムは2024年2月現在の情報を基に作成しています。
三島 正裕の Microsoft Power Platform 業務効率化コラム
- 第1回:ローコード開発ツール Power Apps に触れてみよう
- 第2回:Excelで作成している業務報告書をスマホアプリにするには
- 第3回:Power Apps でテキストラベルを使ってみよう
- 第4回:Power Apps のデータの並び替えと検索機能について
- 第5回:Power Apps のフォームコントロールについて
- 第6回:Power Appsの 一覧・詳細・編集作成画面について
- 第7回:Power Apps の編集フォームにユーザー情報を表示する
- 第8回:Power Apps アプリにドロップダウンで選択肢を追加する
- 第9回:Power Apps アプリで更新通知をメールする
- 第11回:Power Apps でタイムカードアプリを作成する① SharePointリストの作成方法について
- 第12回:Power Apps でタイムカードアプリを作成する② Power Apps アプリの作成方法について
- 第13回:Power Automate で設定した時間にアラートメールを送信する
- 第14回:Power Automate でアダプティブカードを使用した残業申請フローを作成する