DXコラム

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「Webサイト訪問者への呼びかけにより、顧客との接点を創出するDX(デジタイゼーション)推進事例」長嶋幹雄の営業DXコラム 第1回

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はじめに

今年は3年ぶりに行動制限のないゴールデンウイークを迎える等、コロナ禍での新たな生活様式が徐々に定着しはじめています。ビジネスにおいても、オフィスへの出社や客先訪問の機会が徐々に増えてきているようです。しかしながら、営業面ではコロナ禍以前ほど簡単に顧客と直接接点を持つというのは難しい状況となってきています。
直接顧客と接触し、商談することができない状況の中で、いかに顧客との接点を創出し、商機を作り出すか、という営業スタイル・方法を模索する企業が増加してきています。
そのような状況で、Web広告への積極投資やECサイトの立ち上げ、Webセミナーの開催やホワイトペーパーの公開など、Webを用いた集客に多くの企業が取り組み始めています。
今回は、DX推進により顧客との接点創出に取り組んだ事例をご紹介します。


DX推進に取り組む背景と目的

企業向けにオフィス機器、設備の仕入れ・販売を行うM社では、コロナ禍の影響を受け商談機会が減少するだけでなく、既存顧客からの問い合わせ数も大きく減少していました。
ただ、市場ニーズが全くないというわけではなく、オフィス縮小や移転などのニーズを持つ顧客と接触できさえすれば十分勝負になる、と考えたM社はWebサイトを活用した営業活動に本腰を入れて取り組むことにしました。
Webサイトをリニューアルし、Web広告も展開した結果、Webサイトのアクセス数は無事増加しました。しかし、Webサイトのアクセス数増加に反して、以下のような問題が発生しました。

  • Webサイトへのアクセスは増えたが、資料請求、問い合わせの数が思うように伸びていない
  • Webサイト訪問者のほとんどが問い合わせを行う前の段階でWebサイトから離脱してしまっている
  • Webサイトがターゲット顧客に閲覧されているか分からない

上記問題を解決しないことには、せっかく増えたアクセス数から望むような結果は得られない状況でした。そこでどうにかWebサイトを介した効率的な集客ができないか、と考えたM社は、顧客接点創出をテーマにDX化を目指すことになりました。


DX推進の目標

DX推進にあたり、まずは以下を目標として設定しました。

  • 資料請求、問い合わせ件数の向上(10%向上)

Webサイトからの資料請求、問い合わせ件数の増加を目標としました。
併せて、以下のような効果も狙いました。

  • Webページ滞在時間の増加
  • 問い合わせ前のWebページ離脱率の改善
  • Webサイト経由での資料請求、問い合わせ件数の増加およびFAQ対応効率化

DX推進への取り組み

DX推進にあたり、まず、以下の内容を含む企画・計画を策定しました。

  • 集客におけるDX推進範囲と段階的な導入シナリオ
  • 目的、目標達成に向けた改善策
  • システムツール導入含めた改善スケジュール

上記のような企画・計画を策定した上で、以下のようなステップで取組みを行いました。

①Webサイト訪問者への呼びかけ
Webを通じての営業活動の特徴として、資料請求や問い合わせ、FAQを通じて顧客の個人情報を獲得しないことには、営業活動に繋げられません。実際は興味があっても、ただWebページを見てもらうだけでは意味がありません。そこで、Webサイト訪問者へ直接呼びかける施策として、Chatbotの採用を検討しました。
②Webサイト訪問者との対話
Webサイト訪問者に対して待ち姿勢ではなく積極的な働きかけを実施し効率的に資料請求や問い合わせページに誘導するためにChatbotの導入を決めました。Chatbotにはシナリオ型Chatbotを採用しました。シナリオ型Chatbotとは、あらかじめ想定されるシナリオを準備しておき、ユーザーに対していくつかの選択肢を提示し、知りたいものを選択してもらう形式です。
Webページに来訪したユーザーに“何かお探しですか”と語り掛け、その後は設定したシナリオに基づいて会話が進行した上で、資料請求や問い合わせに結び付くように誘導を実施しました。
③顧客の課題・ニーズの把握
Chatbotにはフリーワード検索機能を搭載しました。設定したシナリオ以外にユーザーが知りたい情報が何かを分析し、ターゲット顧客像の再確認を行うためです。設定したシナリオの修正だけでなく、顧客の抱えている課題・ニーズに合わせてコンテンツを拡充していくことに活用しました。

DX推進による効果

顧客接点創出をテーマにしたDX推進による取り組みで、当初の目的を達成するとともに以下のような効果も得られました。

  • 資料請求、問い合わせ件数の増加
    Chatbot運用から3か月で当初の目標である資料請求・問い合わせ件数10%アップをクリアし、その後現在に至るまで月々の問い合わせ数は増加しています。WebページとChatbotがインサイドセールスの代わりを果たし、リード顧客獲得の自動化を実現しました。
  • 顧客ニーズの分析とコンテンツの拡充
    Chatbotへのアクセス傾向およびフリー検索機能の履歴データを基に、顧客の興味、関心に関する分析を行いました。顧客目線で一番知りたい情報は何かなど、分析に合わせてターゲット顧客像を想定し直し、Webページ上コンテンツの追加・変更を行い、より反響の取れるWebページ構成へと修正を実施しました。
  • Webページ滞在時間の向上と、問い合わせ前のWebページ離脱率の減少
    上記取り組みを経て、顧客の興味関心に合ったコンテンツが多く含まれるWebページとなり、Chatbotによるユーザー毎に関心のあるページへの誘導も効果を発揮したことで、問い合わせ前のWebページ離脱率は20%改善し、平均ページ滞在時間(エンゲージメント率)も大きく改善されました。

今回導入・活用したサービス

Freshdesk / Freshsales Suite(チャット機能)

「DX推進」につきましては、ディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にお問い合わせください。

本コラムは2022年6月現在の情報を基に作成しています。


mr nagashima

著者プロフィール 
埼玉県出身。営業業務に関する効率化や生産性向上に向けた提案、販売のスペシャリスト。2000年入社、入社時から当時まだ珍しかったオフィスのフリーアドレス化やビデオ会議などコラボレーション環境構築などを数多く導入。
また、セキュリティ対策として「Microsoft Enterprise Mobility + Security」、「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)」を活用した高セキュリティなリモートワーク環境の導入も得意とする。現在は、デジタルマーケティングにまで活動範囲を広げており、MAツールを中心に、過去販売実績、テレコール、オウンドメディアサイト、メールマーケティングを連携させた活動で実績を上げている。


長嶋幹雄の営業DXコラム一覧
第2回:見込み顧客育成の自動化による、営業スタッフに頼らない案件化率向上への取り組み
第3回:営業成果向上と、営業スタッフの成長を実現したシンプルな管理手法事例
第4回:顧客との関係性管理を通じて接点を創出し、売上向上、マーケティング戦略に繋げた成功事例
第5回:サポートデスク業務の自動化を通してアップセル、クロスセルに繋がった成功事例

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