ローコード開発ツールMicrosoft Power Apps「ハッカソンレポート」
2021年4月13日(火)~4月15日(木)の3日間に渡って、ディーアイエスサービス&ソリューションのソリューション本部営業メンバー(合計45名)を対象に、特定のテーマに沿ったアプリケーション開発の成果を競い合う「ハッカソン」を開催し、私 橋川ミチノリもレポーターとして参加しました。本レポートは「ハッカソン」の様子と実際に参加チームが開発したアプリの内容を3つご紹介します。
目次
そもそも「ハッカソン」とは?
“ソフトウェアの開発”を意味する「ハック(Hack)」とスポーツ競技の「マラソン(Marathon)」を組み合わせてできた言葉が「ハッカソン(Hackathon) 」です。約20年前にアメリカでプログラマーやデザイナーなど複数の参加チームが制限時間内にソフトウェアプログラミングのアイデアや腕前をマラソンのように競い合うイベントがその発祥と言われています。
ディーアイエスサービス&ソリューションでは以前から「Microsoft 365」ご提案の際にローコード開発ツール「Microsoft Power Apps」によるアプリ開発をご案内して参りましたが、提案する私たちも実際にアプリ開発を体験することによって、自社およびお客様の業務を見つめ直し、業務効率化や業務改善提案に繋げるために本イベントを企画・実施しました。「ハッカソン」はアプリ開発力・企画力・チームワーク・プレゼン能力も磨かれる非常に有意義なイベントです。
「ハッカソン」って難しくないの?
「アプリ開発は難しいのではないか?」と思われる方も多くいらっしゃるかと思います。
実際、私たちも「ハッカソン」を受講するまではそのような印象を持っていたメンバーが多く居ました。しかし、受講してみると下記のように短い時間で「Microsoft Power Apps」によるアプリ開発の基礎を習得し、チーム別にその成果を発表できるようになりました。
講師:弊社「Microsoft Power Apps」 の第一人者 三島 正裕
(三島正余裕のPower Apps活用コラム一覧はコチラ)
- 10分間:「ハッカソン」の概要説明
- 40分間:「Microsoft Power Apps」の基礎とハンズオン(体験型)学習
- 2時間: チーム別アプリ開発&プレゼン資料作成
- 1時間: チーム別開発アプリの発表
まず最初に「Microsoft Power Apps」において最も基本的な「Excelファイルをアプリに変換するアプリ」の開発をハンズオン学習しました。最初は少し難しく感じましたが、やり方さえ理解すれば割と簡単に基本的なアプリを作成できました。
いよいよ「ハッカソン」開始!
アプリ開発の基礎を学んだところで、早速3~4名のチームに分かれてのアプリ開発競争「ハッカソン」のスタートです。社内やお客様先で感じている課題をチーム内で出し合い、それらを解決するアプリのアイデアを議論しアプリを開発。その内容を発表資料にまとめていきました。
新型コロナウイルス感染症対策のため、受講者はオフライン(左)とMicrosoft Teamsによるビデオ会議(右)に分かれて参加
それでは実際に参加したチームが開発したアプリを3つご紹介いたします(カッコ内はチーム名)。
①注力商材案件進捗管理アプリ(Oh, No!チーム)
アプリ導入目的
- 注力商材の案件進捗管理および各種資料作成工数の削減
アプリの機能
- 入力フォーマットの統一とリアルタイム情報共有機能
- 過去案件からの資料検索
- データビジュアル化ツール「Microsoft Power BI」との連携による進捗状況のビジュアル化
アプリの効果
- 次回アクション策定の高速化によるお客様接触時間の増加
- 入力データと実績の相関分析による提案品質向上
講師評価
案件管理入力で得られる項目を活用すると、どのようなアウトプットが得られるのか、仮想でも良いのでストーリーを作成しておくと、工数の削減だけでなく、データを利益に変えるコンサル的な提案も可能ではないかと思います。入力データの活用方法として、「Microsoft Power BI」での相関分析を考えられた点は非常に良かったと思います。効果的な分析結果を得るためには、紐づけられるデータとしてどのようなものがあるか事例の収集を行い、社内での公開と評価のサイクルを回すと、より深みのある提案事例ができると思います。
②ネットワーク構築プロジェクト管理アプリ(トリプルXチーム)
アプリ導入目的
- 全国規模の案件でのプロジェクト管理迅速化
アプリの機能
- 共通のプラットフォームでのプロジェクトの案件進捗可視化
- 作業結果(写真・作業記録・位置情報)の保存と管理
アプリの効果
- お客様、プロジェクトマネージャー(PM)、技術担当者(SE)、協業パートナー、営業担当者など、関係者全員がリアルタイムにプロジェクトの進捗状況把握できることによる報告工数の削減
- 「Power Apps」のデータを活用して報告資料作成をすることによる工数削減
- 「Power Platform」内に蓄積されたデータを活用してのプロジェクト振り返り&改善の実施
講師評価
プロジェクトの規模が大きくなるほど、収集・整理するデータも膨大になるため、統一したプラットフォームを用意する発想は良いと思います。フロー毎に関係するデータソースもDXする箇所もしっかりと明記されていて、開発を想定した場合にとても現実味のある内容だと感じました。写真や位置情報など、「Power Apps」の特徴も活かせていると思います。
③機械工具販売店向け倉庫登録アプリ(レジェンドチーム)
アプリ導入目的
- 倉庫の在庫管理効率化
- 営業・メンテナンス業務効率化
アプリの機能
- 販売前:型番・製造番号で在庫検索
- 販売後:販売先・保証期間の管理、メンテナンス記録の登録
アプリの効果
- 外出先からでも在庫数確認ができることによる営業工数削減
- 保証期間&メンテナンス履歴の迅速な把握によるメンテナンス工数削減
- 基幹システムとの連携(次期フェーズで検討)
講師評価
業務フローや課題、目指すアプリの導入効果や管理項目に至るまでが詳細に資料化されており、非常に良い開発事例だと思います。次期フェーズに『基幹システムとの連携』があります。「Power Platform」製品と接続をするには「Microsoft 365」とは別に「Power Apps」の有償ライセンスが必要になりますが、オンプレミスデータゲートウェイで直接接続をしにいくか、「Dataverse」のインポート機能をカスタマイズすることで実現できるのではないかと思います。基幹システムのデータを外へ持ち出すようになると、セキュリティ面についてもより安全な環境を検討する必要が出てきますので、「Microsoft 365+EMS」等のエンドポイント管理ツールも併せて提案することで、より良い提案になると思います。
「Microsoft Power Apps」に関しましてはディーアイエスサービス&ソリューションまでお気軽にご相談ください。
橋川 ミチノリ
幼少よりコンピュータ関連の仕事に憧れ、ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社(旧ディーアイエスソリューション株式会社)に入社。営業職として最新のITソリューション提案・販売活動に10年間従事した後、マーケティング職に転向。高度化・複雑化が進むIT業界のトレンドや最新技術を分かりやすく解説し啓蒙を図るミッションに取り組んでいる。マイナビニュース連載「5分で理解する ITセキュリティ最新動向」にて度々ランキング1位を獲得。出身地: 広島県、好きな言葉:やっぱりカープがNo.1!、趣味:ホルン